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SY 企画 

2022.5 ~ 2024.07完成

​所在:大阪府東大阪市​

日本では、人口減少をはじめとするさまざまな構造的問題により、住宅寿命はおおよそ30年とされています。
戦後から現在に至るまで、「つくる ⇒ つかう ⇒ すてる」という一方通行のサイクルを繰り返してきたのが実情です。

一方で、世界的な気候変動に伴う温暖化防止への意識の高まりを受け、日本でもSDGsの理念のもと、私たち一人ひとりが環境問題に向き合うことが求められています。

本企画住宅(実験棟)は、「つくる ⇒ つかう ⇒ なおす ⇒ みなおす ⇒ つかいきる」という循環型の住宅サイクルを実現するために、何が必要かを探る試みでもあります。

 

住宅のあり方の再構築

 

「なおす(修繕)」と「みなおす(可変)」という行為を通して、日本に根強く残る「新築こそ理想」という価値観を見つめ直しました。
修繕を“完全化”させ、将来的な可変性(用途変更や改修への柔軟さ)に対応できるよう、シンプルで持続可能な構成としています。

具体的には、

  • 気密・断熱性能:外皮平均熱貫流率0.49W/㎡Kを確保

  • 耐震性能:耐震等級3を取得

  • 維持更新の容易さ:長期優良住宅の基準を満たす設計

 

といった要素を盛り込みながら、暮らしの中に 芸術性(手仕事)を編み込むことを意識しました。

家具や建具などの造作はできる限り手作業で製作し、量産では得られない “住まいへの愛着” を育む計画としています。

また、使用する材料についても「現在、再生可能な建築素材であること」を条件とし、現在、主流である窯業系サイディング(再生商品化が未達)などは採用していません。

 

職人技と循環の再生

 

手作業による再生的な工事は、関わるすべての職種にとって技術向上と伝統知の回復につながります。
規格化された住宅では得られない “手の痕跡” が、職人と建主の双方に新たな価値を生み出すのです。

このような住宅を選択する人が増えれば、建主自身も職人の育成や伝統の継承に参加していることになります。
そして、その関係性の中から、人と建築と環境が美しく循環する社会が少しずつ形づくられていく——。
私たちはそのような未来を信じ、この建物に力を注ぎました。

※SY企画とは・・・製作家具専門会社 株式会社ラフ と 石山美法建築設計アトリエが提供する 住宅完全再生企画の総称です。

  • Youtube

​← 解体から完成までを綴った動画を是非ご覧ください。

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